小絲さなこ

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「いい雰囲気を壊す方法」


ひと昔、いや、ふた昔だったら、電話が鳴って良い雰囲気の男女に邪魔が入っていた。
今や連絡のほとんどがSNS。

「うーん……どうやってふたりの邪魔をするか」

唸り声をあげて頭を抱える。

「なに物騒なこと考えてるの」

同棲中の彼女が俺の顔を覗き込んだ。

「いや、今描いてる漫画の……このふたりのことなんだけど……」

見つめ合うふたりの顔が近づいて……という、いい雰囲気のシーン。そこに邪魔が入るという、恋愛ものでは定番の展開。
イマドキの不自然ではない邪魔とは何か。それを考えているのだ。

「会社からの電話っていうのも、最近は使えないしね」
「そうなんだよ。こんなことならふたりの会社をブラックにしておけばよかった」
「通知を鳴らしまくる、とか?」
「いや、そんなウザいこと今時の若者しないだろう。やはりここは親からの電話とか」
「親もSNS使ってる世代じゃない?うちの母親、私より使ってるし」
「だよなぁ……もう、ばあちゃんからの電話にするか」

あぁ、人の恋路の邪魔は難しい。


────Ring Ring...

1/9/2025, 7:37:14 AM