「もしかして、香水つけてる?」
雪(ゆき)は葉瀬(ようせ)にプリを渡しながら尋ねる。
「ん?つけてないけど?」
「マジ?さっきプリ撮った時いつもと違う香りしたから、今日だけ香水つけてたのかと思った。違うのかよ」
葉瀬は何故雪がそう言うのか分からなかった。何か生活が劇的に変わらない限り、匂いなど変化しないはずだが...
「......あ」
「何?なんか心当たりあんの?」
「あー......うん!!!」
「え、何」
葉瀬は何かに気づき、気まずそうに勢いよく返事をした。ただならぬ気配を感じた雪は、焦ってそのまま口から出た言葉を返してしまった。
「......じゅ」
「じゅ?」
「柔軟剤が変わりました!」
「柔軟剤」
相変わらず葉瀬は気まずさ全開の返事をする。雪は不安で思わず復唱した。
「たぶん柔軟剤ですね!」
「へ、ぇ......そ、それは何故...?」
葉瀬は諦めたように笑って、雪を見つめる。そして、深呼吸してこう言った。
「彼氏が出来ました!!!言ってなくてごめんね!!!」
「へぇー......ぇええぇぇ!!?」
てへぺろ、と先程の様に諦めて笑う。
「え、彼氏できたのか!?おめでとう!!って出来たら俺に教えろって言ったよね!?」
「ごめーーんね!!」
「許さん」
「てへぺろ」
「もっと心込めろ。俺の方が可愛く言えるぞ」
「絶対言わないし聞かないよ」
葉瀬は、ちらりと時計を見る。あれから少し話し込んでしまったらしい。
「そろそろカフェ行こうか」
「そうだな。じゃあそこで馴れ初めとか聞かせてもらお。柔軟剤変わったってことはその彼氏と同じ香りなんだぁ~ってことは一緒に住んでるのか!聞くのが楽しみだな~」
「...答えられる範囲の質問でお願いします」
「ええ~どうしようかぁ?」
雪は悪戯っぽく笑っていた。
お題 「香水」
出演 葉瀬 雪
8/31/2024, 8:02:56 AM