玄関の前。
外の音に、じっと耳を澄ます。
そろそろアイツが帰ってくる時間だ。
オレが鍛えた耳をなめるなよ。
お前の足音なんかすぐに分かるんだから。
よく分からない闘志を燃やしながら、ただひたすら待つ。
金属の階段を上る音。
その音はこの階で止まり、コンクリの通路を歩く音に変わった。
だんだん、近づいてくる。
二部屋前、一部屋前、…そして、この部屋の前。
小さく金属のぶつかり合う音。
扉に鍵を差し込む音。
鍵が開き、扉の隙間からアイツの姿が見えはじめる。
その姿が完全になったところで、すかさず飛びついた。
「おかえり!!!!」
【足音】
8/18/2025, 11:00:06 PM