「インスタグラマーのLINAさんが紹介してたから買ってみたの」
ママ友の輪の中で、彼女は淡い群青のロングスカートをひらひらさせていた。周りの人達も共感と羨望の声を足し空気を染める。
自分の下半身を見る。
男の子2人を育てる私は汚れても良いように、そして仕事にも行きやすいように、いつだって黒スキニーだった。
金曜日の夜、子ども達が寝静まった後にInstagramを開き同年代のルックブックを観ていた。
確かに素敵だなと思う人が沢山いて、かわいいなと思うトップスやスカートがいっぱいあった。
風呂上がりの夫が「今週もお疲れ」と缶ビールを出してくれた。
夫にインスタグラマーのルックブックを見せる。
「私今からでも、こんな風になれるかな?」
夫は少し眺めながら考えた。
「なりたいのであれば、なれると思うよ。そういう服装の君も見てみたい気持ちもある…だけど、いつものズボンで子ども達を追いかけ回してる君の方が素敵だと俺は思うほうだから、別にいいや」
「……なーんだ、つまんないっ」
ビールを一口飲み笑った。
私はそっとInstagramを閉じて、次の連休はどこに遊びに行こうかと夫と話し始めた。
題:やりたいこと
6/10/2024, 7:19:30 PM