▶86.「終わらない物語」
85.「やさしい嘘」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
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〜人形たちの知らない物語〜
戦乱中のイレフスト国は、空前の技術開発ブームだった。
しかし、それは王宮の中だけの話。
せっかく開発された技術も軍事利用され国民には届かない。ただ戦いのためと上がり続ける税金で苦しくなる生活に耐えていた。
そんな中で____は、技術開発課の採用試験の最終面接を受けていた。
「ふむ…地元から一旗揚げようと首都まで来たが客が来なくて食い詰めた、か」
「はい、ですが技術はあると自負しております」
「そのようだな。これなら即戦力になるだろうな」
____の組み立てた機械、今回は溜め込んだ動力を使って明かりがつくものだが、試験官による評価は良いものだった。
付け焼き刃ではあるが、____の家ということになっている潜伏先に置かれていた種々の機械の分解と組み立てを繰り返して、傾向は掴んでから来ているのだ。あとは元々の技量でカバーできる。
「ところで、言葉使いがきれいだな」
「それは、ありがとうございます。父の教育であります。」
「どこの出身だ?」
「ナトミ村です」
質問にも淀みなく答えていく。
「よし、いいだろう。採用だ」
「はい!ありがとうございます!」
「配属はF16室だ。質問は?」
「ありません」
「案内を付ける。行ってこい」
「本日から配属されました、____です。よろしくお願いします」
名前は、サボウム国でもしていたように、本名から抜き出して付けた。
戦乱の集結か、それとも私の潜入が見つかる方が先か。
結果が出るまで終わらない物語の始まりだ。
1/26/2025, 9:26:30 AM