まだ知らない世界、まだ知らない風景。理を知らず、踏み出す勇気が持てないまま時間だけが過ぎていった。 白線の内側で私はただ見つめていた。あれだけ憧れていた場所だった筈なのに、怖気づいていた。恐ろしかった。けど、あの人のお陰で踏み出せた。背中を押されて、気持ちに踏ん切りが付けられた。 あれから数年後、あの人もまた私の知らない世界へと旅立ったと風のしらせで知った。 私はあの人の笑った顔を思い浮かべ、もらったペンダントを握りしめた。
5/17/2025, 10:42:02 AM