箱庭メリィ

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太陽に反射した君の素肌が眩しくて
僕はいつも目を奪われてしまう

真っ赤になって黒くはならないと嘆く君は
それでも日除けをすることもなく
半袖からミニスカートから
惜しげもなく肌をさらしている

日の下にいるはずなのに
全然焼けない白い肌は
僕にはとても眩しくて
目のやり場に困ってしまう


/8/1『眩しくて』



ドクドクと脈打つ心臓は、まるで全力で走った後のようだった。

「どうしたの、そんな顔して。怖いよ?」

クラスメイトの佐々木さんが言う。
今日、彼女に誘われて、オカルト研究会の課外活動として夜の学校に集まった。
今は二手に分かれて学校の七不思議を解明中だった。
本当は僕は、今日ここに来たくなかった。オカルト研究会には名前を貸しているだけの幽霊部員だし、オカルトに興味もないからだ。
だが、少し気になっている佐々木さんが、夜の学校で一人になるのは危なっかしくて見ていられなかったから、つい誘いに乗ってしまった。

(ダメだ、耐えろ。耐えろ……!)

僕は後悔していた。
とある教室で佐々木さんと二人きり。ドキドキしている。
心音が上がっていく。

(彼女に、見られたくないな……)

でもそれは、淡い恋のせいではなかった。
僕たちのいる2階の教室の窓の外に、大きな満月がぽっかりと浮かんでいたからだ。
グルグルと喉の奥が鳴る。

(あぁ、どうしよう……。止められない)

必死に堪えるも、僕の体には動物特有の硬い毛が生え、爪が鋭くなり始めた。

「大上くん?どうしたの?」

僕の異変に気付いた彼女が声をかけてくれるが、僕にはそれに答える余裕はもうない。
耳が獣の大きなものに変貌し、顔が変形していく。ズキズキと変形に伴い痛みが僕を襲う。

「キ、キャァァァァ!!」

暗がりであればよかったものの、満月の今日は、教室に隠れる影や場所などない。

佐々木さんは、狼男に変身した僕を見て、悲鳴を上げて教室を飛び出していってしまった。

あとには、ぽつねんと狼になった僕だけが佇んでいた。


/7/31『熱い鼓動』




「ねぇ、結婚しよ?」
「いま、いう……っ?」

愛しくて愛しくて、愛しすぎるから。
思った瞬間に言ったタイミングは、君とひとつになった時だった。

「タイミングを考えてよ!」
「だって、今(あのとき)だと思ったし」

終わった後に余韻も何もなく、君に頭を叩かれた。

「で、返事は?」
「こんなこと許してる時点でわかるでしょ!考えてよね!」


/7/30『タイミング』

8/1/2025, 9:45:19 AM