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遠くの声。

いつか聞き届けなきゃいけない声ってのが、存在している。
僕はいつも思う。この声が出なくなったら、目が見えなくなったら、手が動かなくなったら、死んでしまうのだろうかと。でもきっと、僕はその時まだ生きているし、生きるしか無かったりするのだろうと。
私は爪を飾る。髪を編んで、服を選んで、肌をピカピカに毛繕う。変な言葉を話そうが、奇声をあげようが、それが君に刺されば良いと満足している。その満足感が生き甲斐なのだ。
今、この怠惰に、でも単純に過ごしている時間が、ずっと続けば良いと思っている。過去のわだかまりも、未来の破壊も全て自分とは平行線な他人事でしかない。
どこかの国のどこかの街が沈んでいようと、どこかの村のどこかの川が濁っていようと、一切の関係を自分中心に考える事など不可能だ。
この、醜いと失笑される魂が、年月を重ねる毎に肥大化している。
あの、小さな頃に、無垢に嘆いた悲しみは、もう今は、聴こえないのか。
あぁ、そうか。既に、耳は死んでいるのか。

4/16/2025, 1:59:39 PM