NoName

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車内にかかっている一昔前のバンドの曲
すれ違う車の風を切る音
どこかも知れない凡庸な街並み
小旅行の終わりを告げる夕陽
 
後部座席では母はきっと寝ていて
すぐ横では父がハンドルを握っていた

どこへ旅行へ行ったとて
帰路で見ていた風景は同じで
ぼやけて淡い輪郭線も
毎年そっくり変わらない

楽しい時間は去っていく
今年も夏が去っていく
去るものばかりの八月末で
子供ながらにさみしくなる

そして再び眼を閉じる
再び微睡むまでの一分間
ノスタルジックが詰め込まれた
忘れられないあの日の夕焼け

5/10/2024, 5:24:41 AM