子猫
全てに絶望した
さっきまで晴れていたのが嘘みたいに
俺の耳には何も届かない
どしゃ降りの雨に打たれ
先の見えないほど真っ暗な道を歩くと
どこかも分からない場所に辿り着いた
ふと目をあげた先にいるのは
薄汚い子猫
なぜか輝いて見えたお前を、
俺は抱きかかえ優しく微笑んだ
「…お前は今日からクロだよ。」
にゃーと鳴く声と共に、終わりの無い夜に沈む
数年後、
やさしい光に包まれながら
暖かな場所で、クロと笑い合う
「…今日も、これからも。
笑顔を、太陽を、お客様に。クロ、今日も
頼りにしてるよ。」
「うん!」
…クロ、俺を陽だまりに連れて来てくれてありがとう。
11/15/2023, 10:47:25 AM