作家志望の高校生

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夜。することも無かった俺は、部屋に籠もって適当な漫画を読んでいた。夏休み真っ最中の今、友達と遊んでいる奴らも多いのだろう。しかし、生憎俺は友達が多くない。だから夏休みだというのに、一人寂しく部屋に籠もることになったのだ。元々人付き合いは得意でないし、一人も苦にならないタチの俺は、別にそれでもよかった。SNSに上がった同級生達の青春っぷりを見ていると、少し胸が痛む気もしたが。そんなことを考えていると、ピロン。と間抜けな音を立ててスマホに通知が来た。開くと、見覚えのある文体。文字だけなのにやかましくて、少し馬鹿っぽい文章。
『おきてるー?明日ヒマなら遊ぼーぜ!9時にお前んち行くから!』
暇かと聞いてくる癖にもう家に来るつもりでいるあたり、俺が暇だと決めつけている。事実暇だが。『了解』と書かれた札を持った、可愛らしい黒猫のスタンプを返してスマホを伏せる。時計を見れば、随分時間が経っていたようだ。そろそろ日付が変わる頃だった。もう寝よう、と開いていた漫画を閉じ、目を瞑った。

翌朝、うるさいくらい連打されるインターホンの音に飛び起きる。時刻は8時45分。急いで着替えて出ると、案の定彼だった。
「ちょっと早く着いちった!今日あっちで祭りあんだって!行こうぜ!」
向日葵によく似た笑顔で言われて、文句を言おうとしていた口も塞がれてしまった。
「……はいはい。」
適当な返事をして、玄関先にしゃがみ込む。久々に真っ正面から浴びる朝日と、彼の笑顔が眩しくて、靴紐を結ぶためと装って顔を伏せた。

テーマ:眩しくて

7/31/2025, 10:37:24 AM