Frieden

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「本気の恋」

溜まっている洗い物や洗濯物を処理しながらテレビをチラ見する。内容はよくわからないけど、おそらく恋愛リアリティーショーのような趣旨の企画なのだろう。

……小さい子もいることだから変えておこうかな。
「ねー!ニンゲンしゃん!『こい』ちてる?」
「しないよ。自分はそういうの興味ないからさ。」

「ニンゲンしゃん!ほかのひとがおてほんだってー!ほんきのこい なんだってー!」
「ねー。」「ん?」「こい てなにー?」

そっからか。まあ自分もあんまり分かってないけど……。

「恋っていうのは人を好きになって、そしてその人を自分のものにする……みたいな……?」「んー?」「難しいよな。」「たぶん、ちがう。」「そっか。違うのか。」

「えとねー、こいはねー、もっとあったかいのー!」
「あったかい……?」「んー!」
「ひとをもっとだいすきになってねー、えとねー?」

「わかんない!」「そっかー。分かんないかー。」

「そういえばさ、お兄ちゃん……(?)。何で自分のことを怖がったりとかしないんだ?」
「だって!⬛︎⬛︎ちゃ……おとーとのだいじなこ だから!」

「大事な子?」「ん!だって、まえ、ニンゲンしゃんがおけがちたとき、おとーとおこったもん!」
「だから、だいじなこー!」

そういえば初めて会った時、この子のせいで怪我したんだったっけ。その後のこと全然覚えてないけど、あいつは自分のために怒ってくれたのか。

そうだったのか。

「おとーとのだいじなこは、ボクのだいじなこー!」
自分は小さなこの子を抱きしめずにはいられなかった。
「わー!ぎゅーなのー?!わーい!」

この気持ちは恋ではないのは確かだ。

この気持ちはなんだろう。
「ぎゅー!うれちいのー!おとーとにも、やったげてねー!」
喜び?優しさ?

それとも───。

「前回までのあらすじ」────────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。

もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。

どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。

……ついに裁判の時を迎え、ボク達はなんとか勝利を収めた!

それから。
ボク達はニンゲンくんに、そばにいていいって言って貰えたよ!
まあ一方的にお願いしただけとはいえ!!!
とても嬉しいことだね!!!

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9/13/2024, 11:52:23 AM