静かな情熱
───見つけた…見つけたわ……!!
私が熱くなれる場所。私の居場所。
「さすがねぇ。将来有望だわ」
記憶の中にいる人たちは、全員私のことを讃える言葉しか吐かなかった。なんてつまらないこと。この人たちには「私」という人間が見えていない。かといって私の持つ「才能」を見ているわけでもない。私の出した「結果」しか見ていないのだわ。賞状、トロフィー、メダル。これらはいつだって私の努力を肯定してくれた。私に自信をくれたわ。…でも、気づいてしまった。これらは単なる結果しか映してくれない。周りには、表面上の価値しか伝わらない。どうしたらいいの…いつだって誰も私の側にいてくれない。
誰か、私を見て……!
演劇は私に燃えるような情熱を与えてくれた。私の情熱の炎が燃え上がるのと比例するように、周りとの差は開いていった。周りに私と競い合えるような子はいなかった。それでも自己研鑽を怠ることはなかったわ。いつか人は私を見てくれるはずよ。そう信じて今まで突き進んできたわ。だって……
誰が理解してくれる?私の中に秘めたこの情熱を。
誰が私の隣にいてくれる?人々が天才だと讃える私の隣に。
いいわ…私は負けない。競い合う相手なんていなくたっていい。何かに挑戦する時はいつも一人。私は前の自分よりも輝けたらそれでいいの。
そう思っていたはずなのに…あの子に会った瞬間わかったわ。あの子は必ず私の隣にくる。…いいえ、むしろ私を追い越す可能性を秘めている。ああ、なんてこと…。ようやく出会えた最大の敵は、私の最大の理解者でもある…。
「まってるわ」
この場所で、貴女をまってるわ。初めてかもしれない。こんなふうに心が熱くなるのは…。ああ、もっと燃えて…!私の中の情熱の炎。静かに、激しくこの身を包み込む炎。まだまだこんなものじゃないはず…!私をもっと高みへ連れていって………!あの子が届かないほどに……!
神様…私にあの子という試練を与えたこと、後悔するがいいわ。ぜったいに負けないわ、あの子には……!
4/17/2025, 3:19:35 PM