彼女はこう言った。
「違う人を好きになったの。貴方のことはもう好きじゃないの」
社会人になり仕事を教えてくれた最初の先輩。
凛とした佇まいとテキパキしているけど、人を思いやる姿勢に感銘を受け、そして恋に落ちた。
何度かフラれたが、彼女は「もう、仕方ないわね」そう言って付き合ってくれた。
天にも昇る心地だった。
だけど、突然の別れ。
いや、彼女の様子がおかしいのは、しばらく前から気づいていた。
気づかないフリをしていたのかもしれない。
あの葉っぱが落ちたら、オレは死んでしまうかもしれない。
そんな思いを抱きつつ、数ヶ月を過ごした。
だけど、彼女が実は病を患っていて、それをオレに悟られないように「やさしい嘘」をついたのがわかったのは、彼女が帰らぬ人となってからだった。
なぜ教えてくれなかったのだろう。
彼女にとっては「やさしい嘘」のつもりでも、オレにとっては「切ない嘘」だった。
1/24/2025, 3:39:33 PM