【そっと】
森を尋ねるとそこには小人たちがいた。5人?いや、6...7人だろうか。その小人たちは何か慌てている様子で1、2人が僕を見るなりこちらに大急ぎで向かってきた。と、思ったら何か話し始めた。
「すみません、いま姫様の葬式が始まるのでございます、」
「姫だって?」
そう言うと僕は彼女の元に全速力で走った。が、その意味は無いに等しく、そこには息絶えていた姫らしき人がいた。美しいガラスの棺桶に横たわり目を瞑っている彼女を見る。白い雪のようなきめ細かい肌を持つ女性が目の前にいた。彼女こそ世界で1番美しい姫だと見た瞬間に思った。
「口づけをしてもいいか?」
「え?」
自分でも馬鹿なことを言っているなんてわかっていた。でも、それでも彼女に、いや、彼女"だった"それに私は激しく一目惚れをしたのだとわかった。だから私は顔を近づける。少しずつ少しずつ、その美しい雪を溶かさないように...
「何してるの」
次の瞬間、触れそうな唇は彼女に届くことはなく、僕は小人にひっぱたかれた。
「死体にキスするとかありえないでしょ...」
確かにその通りだった。僕は一体何をしていたのだろうか。
「すまなかった。僕はもうお暇することにするよ。」
そう言って僕は来た方向に体を向き直した。もう彼女達のことはそっとしておいてあげようと思ったからだ。
1/14/2025, 11:29:49 AM