――ほんの少しだけ離れるだけなのに、その一時が苦しいんだ。
俯くあなたの声は震えていた。
泣きそうな姿なんてはじめて見たかもしれない。
またあなたのかわいらしい一面を知ってしまった。
歪んだあなたの頬はすっかり冷え切ってしまっているから、私が包んで温めてあげる。
白い肌に残ってしまった薄紅色の三日月、それすらも愛おしくてなぞる私を許してほしい。
最後に、あなたに伝えるために口を開く。
大丈夫だ、と愛しいあなたに伝えるために。
「また会おう、この場所で」
それは私にとってのお守りにもなるから。
『この場所で』
2/11/2024, 10:17:59 AM