作家志望の高校生

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「昨日、エイプリルフールだったじゃん。」
俺の机に無遠慮にのしかかりながら話す彼の額を押しやりながら、適当な相槌で返した。
「でさぁ、今日2日なわけだけど。今日、エイプリルトゥルーの日だって。」
「何それ。」
エイプリルフールの翌日。そんな話題に、ほんの少しの興味を惹かれた。
俺は、こういうどうでもいいような雑学に弱い。彼も、それを知っていてこんな話をしているのだろう。
「今日、嘘ついちゃダメな日なんだってー。」
なるほど。
昨日が嘘をついていい日なら、その翌日は嘘をついてはいけない日。だから、エイプリルトゥルー。
納得はしたが、理解はまだ追いついていない。
「……おー……で……何で急にそんな……?」
彼はにまりと笑って、俺の唇にコンビニのチョコプリンが乗ったスプーンを押し付けていた。
「んー……だからさ、今日言ったことって、全部ほんとなわけじゃん?」
嘘がつけない日なのだから、そりゃそうだろう。
彼の意図がいまいち読めなくて、とりあえず目の前のチョコプリンを享受した。
濃厚、とまでは行かずとも、そこそこ満足できるガツンとした甘さ。親しめる味だ。
「……ね、僕らって親友?」
理解した。たった今理解した。
目の前で心の底からの愉悦を浮かべる奴の狙いを。
今日は嘘をつけない日。本当のことを言わなくてはならない日。
ここで俺が違うと言えば、俺達はただの友達だ。
しかし、頷くにも照れくさい。
だが、やられっぱなしも腹が立つ。俺も、趣向を凝らすことにした。
「……ああ、大親友だよ。世界一仲良くて、めっちゃ大事な。」
奴の愉悦が崩れた。
俺の耳もじわりと熱くなっていくのを感じたが、奴の余裕は崩せたので相討ちだろう。
なんとも言えない空気の中、2人して顔を赤くして目を逸らし合っている男子高校生共を、悠々と空を飛ぶ鳥が生ぬるい目で見つめていた気がした。

テーマ:大切なもの

4/3/2026, 8:28:17 AM