彼岸花

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星空の下で

かつて親友と星空の下で交わした約束があった

“大人になったらまたここで会おう”

結局、その親友は小学校を卒業する際に親の都合で
遠くに引越してしまった

当時私たちはまだスマートフォンを持っていなかった為
お互い、電話越しでしか連絡を取ることができなかった

だから再々話せるわけでもなく、
だんだんと疎遠になっていった

もう会えないだろう

親友の存在が頭から離れようとしていた時
家の押し入れからある物が出てきた

それはタイムカプセルだった

ただ普通のタイムカプセルと違うのは、
それを作ったのが自分ではないということだ

小学生の頃、その親友と未来の自分に向けた
メッセージを書いた紙を菓子の容器に入れ、
タイムカプセルを作った

そして別れる際にそれを交換していたのだ

“未来のお前へ
ちゃんとした仕事についていますか?
綺麗な奥さんはいますか?
辛いことがあったらいつでも言うんだぞ!
星空の下、あの場所で待ってるからな”

それを読み終わり、自分が微笑んでいることに気づいた

星空の下、あの場所で…

…行ってみよう
親友と共に過ごしたあの場所へ

数日後、その場所へ行ってみた
それは小さな公園だった

交互に滑った滑り台
並んで乗ったブランコ
一緒に登ったジャングルジム

全部あの日のまま残っていた
まるでこの場所だけ時間が止まっているかのように

やはり親友はいなかった

空を見上げた
星が出ていた

しばらくして目の端で光るものを捉えた
流れ星だった

“また親友と会えますように”

絶対にまた会える
私と親友は同じ星空の下で繋がっているのだから

4/5/2024, 12:35:24 PM