絆
不思議な縁、絆とでも言うのだろうか?
もう会わなくていいと思っていた彼女が僕の目の前に居た。
あの時、密かに恋心を劣情、嫉妬を抱いていた相手が、
あの時、彼女は僕に見向きもしなかった。
「なんだよ。」
嫌な気持ちが態度に出てしまう。
「あのっ、わ、私さ…あなたに謝らなくちゃと思って…」
謝る?今更何を言う。
どこまで都合のいい人だ。
僕は無視をして彼女の横を通り過ぎる。
「絆って信じる?」
彼女はまた僕を見ていない。
「私、あなたとの間には絆があると思うの。」
彼女は僕の腕を掴み、頬を赤らめてそう言った。
彼女の体温がやけに重くて気持ち悪い。
絆か。そう。そうだね。
「…絆、昔はそんないい意味で使われてなかったんだよ。今の僕たちみたいに、切りたくても切れない縁のような。」
彼女は僕の恋心に気づき、それを利用して僕を追い詰めた。
僕は全ての彼女の罪を背負わされて、社会の影で身を潜めて生きている。
なのに、彼女は並以上の生活をしていると聞く。
絆なんてふざけるな。
僕は今の今までお前からの呪いに苦しめられてきたんだ。
「ここでまた出会ったことが絆や縁であるならば、切ってしまおう。」
3/6/2026, 12:53:34 PM