《いない》
「百物語やろうよ!」
友人がとんでもないことを言い出した。もちろん私も参加した。拒否権なんてそんなもの、私達には更々無い。
お泊まり会設定で私の家でやることになった。正直嫌だったけど面倒事は避けたい主義だったので了承した。断らなかった、いや、断れなかった自分が心底恨めしい現在である。
真夜中、私含める5人の友達が私の家に集結した。
1人ずつキャンドルに火を灯していく。友人いはく、最後の1人の話が終わった時点で怪奇現象が起こるという。途中棄権は許されない。
午前1時半、何か起こるかなと期待したものの特に何も起こらず残念がる友人2人と、安堵する1人。早く寝たいと大きなあくびをしたのは私だけだったらしい。
その日は普通に寝た。時計が深夜2時を指すところだった。
次の日、私はテストの課題に追われて深夜2時近くまで起きていた。ほとんど閉じている目を擦りながら
と、薄暗い廊下にぽつんと一筋小さな灯りがあった
。気付いた途端、身体中の血が凍りつくような感覚があった。
「キャンドル...」
気付いた時はすでに遅かった。昨日の夜から今までずっと、異変に気付けなかった私をとても恨んだ。
午前2時、丑三つ時、霊界と現世がもっとも近くなる時間帯に起きていてはいけない。
お題:キャンドル🕯️
11/19/2024, 1:09:24 PM