だんだんと子どもしかいない世界になっていき、今の世界よりも異世界に生まれ変わりたいという大人が増えては、この世に生まれる赤ん坊が減っていく。
やがては、母親の膣に向かって「お前はこの世に生まれたいか、異世界に生まれたいか」と尋ねる物語が生まれるだろう。
この世界に飽きれたのなら、不思議の国に落ちていけば良いじゃないと、墓石よろしく高層ビルから飛び降りて夢の中に入る子どもは、もうすでにいるかもしれない。
ぼんやりとした不安なんかよりも、漠然とした不穏を知りたくて、自ら首を絞める子どもたちは、てるてる坊主の生まれ変わりか。明日天気になれと願えば良いのに、求めるは親よりも不特定多数からの称賛と肯定だ。仏さえも思わず、蜘蛛の糸を断ち切りたくなる餓鬼の欲求だ。当然、この世に転生する子どもの魂は消えていくだろうよ。
大人の鏡になってくれる子どもがいない世界にいったい何の価値がある。自分の中に集めたい世界はどこだ。どこに消えてしまった。
ディストピアの未来図を描いて、そんな展開を現実で起こさないようによく見て学べというが、本当に起こりそうで恐ろしい。
だが、たとえ大人がいる世界が滅んでも、子どもの耳で崩れていく音を聞けば、雨音のような心地良さを覚え、一種の音楽となって鳴り響く。崩壊のリズムから芸術が生まれるだろうよ。
(250414 未来図)
4/14/2025, 1:05:58 PM