ぼくの彼女は、嫉妬深い。彼女の交際経験は0に対し、ぼくは一人だけ元カノがいた。
この時点で彼女との交際は0からのスタートではなく、元カノの面影を重ね、無意識のうちに比較し、ある時は思い出に浸ったりする。それをどうにかしたくて、彼女は嫉妬するのだ。
「元カノと連絡は絶対禁止だから。名前を出すのも禁止!」
人生において、0からというのは実は相当難しいのではなかろうか。以前の経験が必ず印象の邪魔をする。
子供の頃は全てが初めてに包まれて、世界が輝いて見えた。人生の半分が20代で終わるという所以もその辺りにあるのだろう。
きっと彼女の目には、ぼくとのお付き合いはぼくより一層輝いているに違いない。デートに行く時も、キスをする時もドキドキと、ずっと心を高鳴らせて。
この一生に一度しかない体験を大切にしてあげよう。
「分かったよ」と彼女のちょっぴり面倒で可愛らしい願いを聞き入れた。
2/22/2023, 3:14:43 AM