休日の朝、ご飯を食べ終わってスマホをいじっていると、『連載開始から25周年記念!期間限定全巻無料!』と書かれた広告が目に入った。一昔前に流行った作品だった。当時はアニメも放送されていて、評判がよかった覚えがある。私はこの漫画は読んだことがなく、ずっと気になっていた。
広告をクリックすると、漫画アプリに誘導された。ここで読めるらしい。全27巻。私は1巻から順番に読んでみることにした。
気づけば、朝からぶっ続けで読みふけっていた。スマホから目を上げた先、窓の外の日が上がりきっているのに気づいて、慌ててお昼ご飯を作って食べた。お昼ご飯を作っている間も、食べている間も、お行儀が悪いと分かりつつ、スマホ片手にその漫画を読み続けていた。
夕方になり、夜になり、夕ご飯を食べても、私はその漫画の面白さにとりつかれていた。突飛なキャラクター、その関係性、テンポのいいギャグ、人情味のあるシリアス展開……どれも私に刺さるものばかりだった。
今日1日ほとんどの時間をかけて、15巻まで読み進んでいた。このまま読み続けたい欲望をなんとか抑え込んで、風呂に入って明日の支度をし、布団に入る。
明日のアラームを確認して、スマホは枕元のいつもの定位置に置いた。
眠る為に目を閉じる。さっきまで読んでいた漫画のキャラクターやストーリーが頭の中で渦を巻く。先ほどまで読んでいた15巻は、作品内にいくつかあるシリアス長編の1つの、起承転結の転の部分の巻だった。あそこからどんな結末を迎えるのか気になってしょうがない。
読みたい。でも寝なきゃ。読みたい。寝なきゃ明日が大変だ。読みたい。だから寝ろって私!
何度も何度も心の中で葛藤して、私は結局スマホを手にとって漫画アプリを開いていた。
眠れないほど続きが気になるなんて、これほどいい作品に出会ったのは久しぶりだ。だから、もう無理に寝ようとするのはやめて、寝落ちするまで続きを読むことにした。
寝る前にスマホを見ると睡眠の質が落ちるなんてよく言われているけれど、今は知ったこっちゃない。
ページを捲る指が止まらない。漫画の世界に浸ったまま、どんどん夜は更けていった。
12/6/2024, 8:23:50 AM