あかみ

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これはイメージ
昔から度々頭に思い浮かぶイメージ

透明なグラスの中になみなみと水が入っている
その水には黒やねずみ色、銀色の澱みがふわふわと漂う
澱みは外からの刺激で撹拌されてグラスの中をぐるぐる回る
大きな塊や、細かく小さな気泡となってぐるぐると
一日が終わりに近づく時
一日が始まろうとする時
澱みはゆっくりとグラスの底へ落ちていく
摩擦で傷んだ感情と他人の言葉を包みながら静かに静かに溜まっていく
ゆっくり
ゆっくりと
すっかり上澄みと沈殿物に分かれた頃
グラスの中は淡墨色
そこは静まりかえった夜の海となる

私の中にグラスは常にあった
静かな夜の海を感じる時
自分に一番近い言葉が生まれる
感情は平坦で頭の中も凪いでいるのに、なぜだかとてもお喋りになる

歳を重ね、だんだんと分かったこと
これは私の孤独
誰も入ることのできない私だけの場所
真夜中は孤独の形を露わにする

5/17/2023, 10:21:14 PM