今日は早く帰れそう。
そうメッセージを送ったら、速攻既読がついた。数秒して、『待ってる』と返事が来る。これは一分一秒でも早く帰らなければ。
定時で仕事を終わらせ、電車に飛び乗って彼女の待つ部屋に向かう。カンカン、ヒールの音が静かなアパートに響く。
二人で借りている二〇五号室。あたしは、階段を上っている間に準備していた鍵を鍵穴にぶっ刺す。鍵を抜いて扉を開ける。
「ただい」
「おかえりー」
言い切る前に、抱きつかれた。どうやら、玄関で待っていたらしい。改めて、ただいま、と言い切る。
「なぁに、佐和。随分甘えんぼじゃん」
「……早く帰ってくるの久々だから。今日は良いでしょ?」
頬にキスされ、あたしは思わず笑った。
「ご飯食べてからね」
「ん、了解」
「今日なに?」
「おでん」
「いーね」
二人でくっつきながら部屋に入る。今日は早く帰ってこれて良かったな、と彼女の体温を感じて思った。
2/4/2024, 10:40:30 AM