ストック1

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人の心は、他人が知ることはできない
できるのはただ、推測することだけである

「皆さん、この世界のため、平和を神に祈りましょう」

神官が教会に集まった信徒たちに、そう促す
今日はこの宗教の信徒たちにとって、特別な日である
皆で心を合わせ、神に平和を祈り、平和のために力を尽くすことを誓うのである
祈りの果てに、世界平和が訪れると信じて
しかし、本当に皆が平和を祈っているのだろうか?
人の心の中はわからない
しかし、今回は特別に祈る信徒の心の声を覗いてみよう

ある信徒はこうだ

(神よ、私は遊んで暮らしたいのです
私を大金持ちにしてください)

世の中やっぱり金である
金は誰しも欲しいものだ
彼は欲望にとても忠実だった

この信徒はどうだろう

(会社の嫌な上司がやらかしてクビになりますように)

世界の前にまずは自分の平和を守りたかったようだ
これは本人にとっては死活問題
祈りたくもなるというもの

もう少し見てみよう

(ライブのチケット!
ライブのチケット当ててください!
解散ライブだから!)

彼女は自分が好きなバンドの解散ライブのチケットが望みのようだ
当たれば一生の思い出になることだろう

さあ、次の信徒はどのような祈りを捧げるのか

(楽して小説が書けるようになりたいです!
努力とか絶対にしたくないんです!)

夢のための努力は大切だが、それは時に苦痛を生む
彼はもしかしたら頑張ることに疲れてしまったのかもしれない

見たところ、とても自分に正直な信徒たちのようだ
では、聖職者たる神官の心を覗いてみよう
彼は敬虔な信徒として、皆とは違い平和を祈るのだろうか

(なにが神だバカヤロー
そんなもんいてたまるかクソが)

彼は敬虔ではなかったようだ
神をまるで信じていない
なぜわざわざ信じていない神の神官をやっているのだろうか
他に進む道があったように思えるが

さて、誰も彼もが己の願望ばかりで全く世界平和を祈らない
しかしそれでいい
それでこそ我が信徒たち
我が信徒たちはそれくらいでなくては困る
私に仕える者たちはこうでなくては
私は彼らに信仰される神として誇らしい
これからもそのままの信徒たちでいてくれ
そうすれば、私は退屈せずに済む

11/13/2025, 11:35:50 AM