生まれた。この時から私はうるさかった。
朝も昼も夜もずっと泣いていた。
母はいつも笑っていた。
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小学生になった。低学年も高学年もうるさかった。
友達はできたが、学年が上がるにつれ私は嫌われた。
母の笑顔は少なくなった。
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中学生になった。少し自分を改めようと思った。
中学生なりに考え、殻にこもるようになった。
友達はできなかった。
母は真剣に悩むようになった。
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高校生になった。高校で全て取り返そうと思った。
でも、殻の中にいた私にそんな事は出来なかった。
母は病気になった。
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社会人になった。母のために働こうと思い、大学には行かなかった。顔色を悪くしてまで働く日々。
そんな私をみて、母は泣いていた。
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今日は、私の25回目の誕生日。
プレゼントをくれる人なんて、もう私にはいない。
もしいるとしたら、欲しいものがもらえるとしたら、私はこう言うだろう。
「もう一つの物語。」
母の、幸せな物語を――。
10/29/2022, 3:00:53 PM