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「…に、似合うか?」

初めて着る甚平に包まれて照れくさそうな彼。

『うん、よく似合ってるよ』

その愛らしい姿に全力の賛辞を送る。
周りにいる看護師達も同じように彼を褒める。

「ほ、褒めるのはいいから早く行こうぜ」

彼は顔を背けてそう言うと点滴を連れて歩き出す。
その姿をコンビニで買った手持ち花火を持って後を追う。

着いた先は病院の裏手にある小さな公園。
少し廃れたベンチに彼は腰掛ける。
地面に軽く刺したロウソクに火を着ける。
彼の方を見ると花火の種類に目を奪われていた。

『お待たせ、いつでも始められるよ』

そう声を掛け、二人きりの小さな夏のお祭りが始まった。

煙すらも愛おしく感じた、最初で最期の夏の夜。

7/28/2023, 1:55:41 PM