紫苑

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カーテンの隙間から射す光。

葉と葉の隙間からこぼれる光。

昔は綺麗だと思えていたものが、綺麗に見えなくなった。


いつになったら僕の世界に光は差すの?


明けない夜はない。

止まない雨はない。

この暗闇を抜けたらいつかは光が差す。


そんな言葉を純粋に信じられるほど幼くは
もういられない。


そんなとき、兄が、昔言っていた言葉を思い出した。


影がないと光はないんだよ。
だからね、
どちらかがないと成り立たないんだって。


この話を聞いたとき僕は、人間みたいだなと思った。

表と裏のない人間はごくわずかしかいないと思う。

誰にだって隠し事の一つや二つはあるし、悩み事もあるはずだ。


明るくて、優しくて、何でもできる人にも悩みがあるのだ。

悩みの大きさも、痛みも、どちらの方が上、ということはない。



…綺麗事は嫌いだ。

それでもそれにすがるしか方法がなかった。


きっと、

今自分が暗闇の中にいるのも全部、自分のせい。

自分から目を逸らした。


光が、怖かったから。

まるで、天敵に怯える夜行性の動物になった気分だ。


でもこれからはちゃんと暗闇にも向き合う。

そうしたら光も見つかるかな?


それに返事をするかのように

窓から光が降り注いだ。


『日差し』

7/2/2024, 1:15:35 PM