始めから、この心は嘘だったのかもしれない。昨日までのことを小さな額縁に納められた写真に見るような、アナウンスと共に閉じ行くドアに映るその目を知って、そう思えてしまった。その写真からも引き剥がされるように、音を立て、列車は動き始める。雲から染み出す青空に緑が広がるばかりで何も無い故郷を無感情に流し映す窓に、今までの景色が蘇る。ぽたりと、雫が足下に落ちる。思い出とともに飛び去っていく事無く、静かに、縋るように滴り落ちていた。
せっかく、向こうへ行けるというのに
何度もその言葉が木魂し、波紋を広げた。しかし、その裏を返して、またと、垂れ落ちる。
もう一度、貴方に会いたかった。
11/14/2024, 1:40:48 AM