郡司

Open App

 今はもう鬼籍に入った家族たち。去られて初めて、その存在がどれほど豊かに日々を彩り、耳には聞こえない音を温かく美しく響かせてくれていたかを思い知る。
 時間は巻き戻ったりはしない。でも心が届くなら、思い出と感謝が生み出す愛が、皆の道行きを照らすかもしれない。
 過ぎた日々のいろいろが今の私を育ててくれた。誰もがモノもカネも持たずに死の敷居を超えてゆく。「棺桶の向こうまで持って行ける」ものは何だろう。そして、たしかに差し出して置いて行けるものは何だろう。

10/6/2023, 2:23:30 PM