300字小説
夢の世界には
目覚めると俺は違う世界にいた。鉄の馬車が走り、鉄の鳥が飛び、電気とやらで掃除も洗濯も料理も簡単に出来る世界だったが、軽く宙に浮いたり、手に火精や水精を呼ぶ魔法を使ってみせるだけで、テレビ局とやらに引っ張りだこになった。そんなある日
『まだ寿命が残っていたのに異世界転生させちゃたの。ごめんね』
女神様とやらが現れて、暴れ馬に跳ねられた俺は施療院のベッドで目覚めた。
「……意識のない間、こんな不思議な夢を見たんだ」
今日も冒険者として、地味な依頼をこなし、報酬を稼ぐ。
「夢では楽に暮らせたんでしょ。目覚めてイヤにならない?」
女剣士の問いにニヤリと笑う。
「そうでもないさ。あの夢にはお前が出てこなかったからな」
お題「こんな夢を見た」
1/23/2024, 1:06:22 PM