とある恋人たちの日常。

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 今日は恋人と休みの日が一緒で、天気が悪くてお部屋デート。買い物も行きたい気持ちはあるけれど、今は少し雨が強くて出かける気にもならない。
 
 気圧も急激に下がっているからか、身体も重く感じて気分も重い。
 視線を窓の外に向けると先程より暗さは無くなったけれど、まだしっかり雨は降っている。
 
「はぁ」
 
 ふわりと頬に何かが触れた。それが彼の手だと気がついて自然と頬擦りしてしまう。
 私が猫ならゴロゴロと喉を鳴らしていただろうな。彼の暖かい手が心地よくて、好きと気持ちが溢れてくる。
 
「大丈夫?」
「ん……」
 
 私はそのまま彼の肩に頭を乗せると、安心感からか息を吐くのと同時に眠りについてしまった。
 
 ――
 
「……ん、……ちゃん」
 
 ゆっくりと目を開けると彼が私の肩をゆっくりと揺らしながら起こしてくれていた。
 
「ん……」
「外、見て」
 
 彼は指を窓の方に向けていた。
 それを追うと雨は上がっていて、明るくなった空には虹が鮮やかに架かっている。
 
「うわぁ!」
 
 私は窓に飛びついて全体を見渡す。虹を目で追って行くとその端がここから近くに見えて、少しだけ好奇心が湧いて彼に振り返った。
 
「見に行きませんか、虹のはしっこ」
 
 ワクワクした気持ちを抑えきれず、どうしても口角が上がっちゃう。
 
 彼は満面の笑みで手を伸ばしてくれた。
 
「探してみよっか?」
「はい!」
 
 
 
おわり
 
 
 
四三八、虹のはじまりを探して

7/28/2025, 2:49:21 PM