「こんなところにまで来ちゃうのねえ君は」
深くそこの見えぬ大穴に、自身の身を投じれば彼女また、その身を投じた。
想定内のことではあるが、やはり彼女のやることは判らない。
「判らないなあ……ねえ、僕は終わらせたくてこうしたのに、なぜ君までついてきてんのさ」
届くはずはないが、僕は彼女に問うた。
風が声をかき消して、彼女には届かない。
僕のために、と僕の無くしたモノを探して彼女は己の時間を無駄にした。25年もね。
僕がいらないと言っても彼女は探した。このままでは彼女は更に、時間を無駄にしてしまう。
そう思い僕は飛び込んだのに、なんで君まで来てんのさ。
「ねえもうさ、もう、終わらせてしまおうぜ」
そう言っても、この声は届きやしないし、聞こえたところで彼女は、僕を逃がさない。
どうしたら、どうしたら終わらせられるのだろう。
7/15/2023, 1:54:13 PM