絶対に言ってやるもんか…!
そして、絶対に絶対に絶対に言わせてなんかやらないんだから…!
物語ならきっとこれが後悔に繋がるんだろう。
言わなかった言葉や言えなかったことを後悔しながら生きていくのだろう。
でもこれは物語ではないから、私は自分の意地を通そうと思う。
どうしてこんなことになったかなんて、自分も相手もきっともう既に覚えてなんかいなくて。
ただ、私は絶対にあの人に謝罪をさせたくないし、謝罪を聞かせたくないのだ。
だから今日も私は意地を通すためにあの人を避けている。
あの人のことを思い出すとき、それはいつも困ったような顔と「ごめんね」その言葉がセットだった。
あの人は優しくて臆病な人。
そして、ズルい人。
優しいから、喧嘩が嫌いな人だった。
臆病だから、頭を下げることを厭わない人だった。
そして、謝れば許されると信じている、そんな人だった。
ねぇ、どうしてあなたが謝るの?
前に聞いたことがある。あなたは悪くないのに、と。
不思議そうに首を傾げられたっけ。
考えたこともなかった、と。
謝れば終わるから、自分は誰かが怒ってるのみるの嫌いなんだ。
そんなふうに言う相手を怒ることなんか出来なくて。
咄嗟に私はあの人の前から逃げたのだ。
謝ろうとするあの人の言葉から逃げたのだ。
そんなことを続けていても限界はある。
あの人からメッセージ。
「花を買ったんだ。君に渡したい」
添付の画像には、紫や青や黄色やオレンジの花が飾られてた。
「なら、私からは」
イエロー・パロットを贈ろう。
私はあなたの謝罪を聞きたくないし、聞かせたくもないのだから!
モスコミュールにはまだ早い。
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あとがき
あの人が送った花は、
紫のヒヤシンス
青のヒヤシンス
黄色のヒヤシンス
カンパニュラ
カリフォルニア・ポピー
https://www.ccact.org/hanakotoba/19512/
こちら参照しました。
「私」のカクテル、変えました。
「モスコミュール」のカクテル言葉は、「喧嘩をしたらその日のうちに仲直りする」
「イエロー・パロット」のカクテル言葉は、「騙されないわ」です。
カクテル変えないほうがよかったかなぁ…。
5/30/2024, 9:07:04 AM