静寂の中心で
明るい夜の街。
飲み屋はいつもに増して賑わっている。
そうか、今日は金曜日。
最近仕事が忙しいので、1週間が早く感じる。
今日も残業で、気がつけばもう22時を回っていた。
店の灯りたちを横目に、家路を急ぐ。
この飲み屋街を抜けた先にある橋の向こうは、閑静な住宅街へと続いている。
夜も遅いため、辺りはしんと静まり返っている。
まるで別世界に来たかのような感覚に襲われる。
外からのノイズがなくなると、たちまち私の思考が働き始める。
この休日は何をして過ごそう。久々に家族で遠出でもするか。行き先はどこがいいかな。いや、家でゆっくりするのもありだな。本を読むのもいい。いっそのことずっと寝ているのも大いにありだ。でもそれだと妻は怒るだろうな…。
自分の顔がにんまりしていることに気づき、慌てて表情を戻す。
静寂は、心の声だ。
今日も私の脳内は、飲み屋に劣らぬほど喧しい。
10/7/2025, 3:28:18 PM