NoName

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 数奇な境遇を共有出来た時、独りぼっちだった世界に君が入って来た。
 世界は僕ら二人と、それ以外だった。

 君は言った。自分以外の人間は、僕にとっての敵だと。
 だからいつだって君の傍に居なくちゃいけないのだと、君は無邪気な顔で笑っていた。

 でも僕は知ってしまった。
 僕を愛してくれる人間は、君以外にも居たんだってことを。
 この世界は、敵だらけじゃなかったことを。

 僕にとっての世界じゃない。
 君にとっての世界こそが、僕と二人だけで成り立っていたということを。

7/16/2025, 12:49:07 AM