白糸馨月

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お題『目が覚めると』

 目が覚めると、スマホが鳴りっぱなしだった。
通知はXからで私は心臓が痛いほど高鳴るのを身を以て感じる。おまけに変な汗がでる。

「え、私なにか変なこと呟いた?」

 昨日なにを呟いたか思い出す。えぇと、日頃から推しが尊すぎて昨日も推しについての妄想を呟いたっけ。あぁ、そういえば推しとその相棒の落書き漫画をあげたけど、もしかして

「公式に把握されたとか?」

 大変だ。もしそうならすぐアカウントごと消さないと。なぜなら、私は推しについては純粋に「好き」というだけじゃなくて、いわゆる腐女子だからBL的な妄想もしてしまっているわけで。
 非実在人物だから公開アカウントだけど、それにしても公式バレは怖い。昨日の呟きは、「推しくん、やっぱえっちだぁ」から始まるしょうもない呟きだ。こんなのが公式に把握されたからきっと通知がやまないんだ。
 えぇいままよと、おそるおそるXを開くとそこには嬉しいコメントばかりが並べられていた。

「ひぃ、AくんとBくんの関係性が尊すぎる」
「はぁ~好き」
「作者のAくんに対する愛を感じる」

 要するに昨日あげた漫画がバズっていたのだ。おまけにその感想ツイートの中に私が以前から崇め奉っている商業BL描かれてる方も泣いてる絵文字と共に「尊い」と言いながら、私にフォロバしていたのだ。
 その信じられない光景に私は自然と口角が上がり、ぐへへ、ぐへへという笑いがこみあげてきた。

7/11/2024, 2:28:26 AM