あん子

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春休み

母親からお留守番を頼まれた私は
窓の向こうから聞こえる
鳥のさえずりに誘われて
広いベランダに出た

今日も絶好の日向ぼっこ日和だな

そしていつものように
子供部屋から持ち出した掛布団を2つ折にして
ベランダに敷き、仰向けに寝転んだ

布団のぬくもりと
太陽のあたたかさとの間で
私は地球と一体になった

これでいいと思った

目の前には
画用紙の端っこまでうす水色で染めたような
張り付いた空が広がっている

じっと見ていると
段々と上下が分からなくなってくる

このまま重力が逆さになれば
私は空へ落ちてしまう

高いところから下を覗き込んだような
そわそわした心地が大好きだった
自分だけが知っている世界だった

しばらくすると
母親の「ただいま」の声が聞こえた
私は慌てて布団を戻し
何事もなかったように「おかえり」と出迎えた

𓏸︎︎︎︎⁡𓈒 𓂃快晴

4/14/2023, 12:55:14 AM