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「またコイをがんばってしてみたけど、ぜんぜん。レンアイにもむすびつかない。しあわせってなんなんだろ」

見知った女を抱いた。彼女からかおる香水は毎度、異なり、しんせんだった。目もとに綾なしたラグジュアリーな極彩色が剥がれ、ただただ、めばちこを晒す。その理由は兎角言わず、だきつかれる毎晩。苦痛では無かった。

乙女の皮が剥けるほどむさぼってから、彼女がくちをすべらせた。俺だけをえらんでれば、いいのに、なあ。いつまでもすきでは在れないよ。だって。また、おんなじことをくりかえすだろ。

しずむ。シズム。しあわせに、なりたい。ね。なりたい。なりたかった。な。

膝下をみせてきたカワイイにんげんが、あんまり、はずかしくて。大海に揉まれたはつこいが、なつかしい、な、あ。



らぶれたあを、紙ひこうきにして、だれかに、みせたら。だめだよ。はずかしいもん。ふふ、それに。ふたりぼっちが大衆にいり揉まれるのは、キライだから。

「あきたらけす。いっかいやすみ。もういっかい。こんどはおまえといっしょに、やりなおし。」



レンアイだって、落ちることといっしょでしょ。

6/18/2023, 5:50:52 PM