▶70.「星のかけら」
69.「Ring Ring ...」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
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人形とナナホシは合流を果たし、
フランタ国とサボウム国の国境付近にたどり着いた。
同時にそこは、イレフスト国との国境地帯でもある。
しかし、この地域には、見張りも住む人もいない。
ただ荒れ果て自然に飲み込まれた姿があるだけである。
これには、当時の戦乱によって賛成派が一掃されたことが理由にある。
特に得るものなくただ巻き込まれた形となった国民たちの中には、戦乱に嫌気が差した者も多く、
王の権威も奪われはしなかったものの、かなり下がった。
それは、子孫に引き継がれ、現在も風潮として続いている。
3国共に、そのような状況なので、
一種の空白地帯となっているのだった。
人形とナナホシは、
関所に様子を見に行くか、
このまま人目につかぬよう入国するかと話し合いながら、
戦乱末期に大きな戦いがあったらしい辺りを探索していた。
すると、人形が黒くゴツゴツした石を見つけ拾い上げた。
「ソレ、星ノカケラ」
「星のかけら?」
「夜空ニ光ル星ジャナイ。流レテ消エル星ノ方。空気ト擦レテ燃エテ、殆ド燃エ尽キル。タマニ燃エ残ッテ落チテクル」
ナナホシは人形の肩から腕を伝って、
人形が手に持つ星のかけらを触覚でつついている。
「持ッテイコウ。僕ノ材料ガ入ッテル」
「そうか」
「関所、ドウスル?」
「無理に探す必要もないだろう。街に入る時に聞かれたら迷って分からなかったと答えればいい」
「ソウダネ」
1/10/2025, 7:47:49 AM