「君と飛び立つ」
エンペラーインコのカルジョフは、人が乗れるくらいでかい。まさしくエンペラーの名前に相応しい。
知能が高く、歌もお喋りもとても上手だ。
カルジョフは雛の時に森で弱っているのを保護して以来、ずっと一緒だ。僕は家族があまり好きじゃなかった。いつもカルジョフの悪口を言う。カルジョフは僕の大切な大切な家族なのに。血は繋がってないけど、僕にとっての1番の理解者は間違いなくカルジョフだ。
ある夜、僕はついに決意した。この家を出てみよう。
ありったけの硬貨と簡素なサンドイッチ、それに缶詰数個を鞄に詰めて、僕は窓際から外の世界を一望した。いつもの見慣れた夜の街並みが眼下に広がっている。僕は夜の静けさを肺いっぱいに吸い込んだ。
勇気を出して、首を傾げるカルジョフに声をかける。
「カルジョフ、背中乗せて」
「いいよ。いいよ、シュウ」
カルジョフが僕が背中に乗りやすいよう、首を下げた。カルジョフは背中に飛び乗るのを確認すると、同時に大きな翼をはためかせて家の窓から、飛び立った。
行き先は、まだ見ぬ世界の果て。
カルジョフと2人でどこまでも行こう。
君と飛び立てばどんな未来でもきっと乗り越えられる。カルジョフは陽気に歌を歌った。
「よみちはくらいよ、どこまでも
こどくはぼくのおいかぜだ。
よるをさくおおきなつばさ
どこまでもとんでいけ
」
8/21/2025, 10:29:11 AM