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夜景

「やっぱベタに夜景?」

免許を取ったというタカシの連絡を受け久々に集まったのは学生時代いつもつるんでいたメンバー。4人揃えば騒がしく時間はあっという間に過ぎる。そろそろ解散かという時間、せっかくならと高台に車を走らせる。
免許初心者には緊張ものの山道を慎重にゆっくりゆっくり登って行く。ハンドルを握るタカシの緊張具合に車内も静まる。  
そうして無事頂上にたどり着き。緊張から解き放たれ一斉に車外飛び出す。そして目的の夜景を眺めて出た言葉は。

「…ショボくね」
「灯り少なっ」

「自分の住んでる田舎だぞ、こんなもんだろ。何期待したんだよ」

もっとこうさぁ、夜景って言ったら何万ドルとかさー
俺将来は夜景見える都会のタワマン住むわー
俺は大富豪になる!

口々に勝手なことを言いながら。それでも思うことは。
せめてこれ以上この夜景の光が減らないように、俺たちがこの地域を担っていかなければ、ということだった。

9/18/2024, 12:41:14 PM