傾月

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暗がりの中、スマホの画面がパッと光る。明日に備え布団の中でうつらうつらしていたワタシは、その光と振動で気付き枕元のスマホを手に取った。
「HAPPY BIRTHDAY!私の可愛い子!」
母親からのLINE。毎年必ず0時きっかりに送ってくる。毎年毎年、0時を待ち構えているのだろうか。暇というか、母の愛は偉大というか。

それにしても0時きっかりとは妙な話だ。何故ならワタシは0時きっかりに生まれたわけではないから。確か、明け方だったはず。何故生まれた時間ではなく、その日になった瞬間に祝うのか。
誕生日に関して言えば、日本はずっと"数え"で歳を重ねていたが、昭和25年に施行された法律で"満年齢"で歳を重ねることになった。つまり"年が明けた瞬間"ではなく"生まれた日"を誕生日としたのだ。
このことから考えるに、"生まれた時間"ではなく0時に祝ってくれる母はつまり"数え時間"で祝っている、ということになる!

…何を意気揚々と考え上げているんだ?と不意に我に返った。あまりのくだらない内容に我ながら笑えてくる。
さっさと眠ろう、明日(いや、正確には今日)は朝早い。誕生日は家族で過ごす、という我が家のルールに則って、弾丸日帰り帰省だ。
そうだ、たまには祝われるだけじゃなくて、感謝を伝えてみようかな。


―――ワタシの誕生日 [娘]


                  #8【1通のLINE】

7/11/2023, 7:57:53 PM