NoName14

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前だけ向いて
全力疾走していれば
報われると思った。

足を止めると、その後ろにあるモノに
容易く吸い込まれる『かもしれない』
という、恐怖感もあった。

助けての、ひと声も上げず
前へ前へ
何処がゴールかもわからずに。

時計の針を飛び越えるように
日めくりカレンダーを空になるまで
むしり続けるような日々だ。

そのうちに、心身が空回りをはじめた。
カラカラという音は
バランスを崩すほどに
大きな音に、変わっていくが
私はそれを無視した。

そして、ある日突然に
足が動かなくなった。
見渡しても『かもしれない』など
なかった。

私は、私の存在や評価、価値という
形のない私自身から
逃げていたのだ。

【お題:ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。】

5/30/2023, 2:19:56 PM