YOU

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鉄棒で逆さまになり、景色を眺める。
「逆さまに見ると、こんな感じなんだなぁ」
地面は近いし、空がさらに高い。ほぼ見ることがない逆さまの景色を堪能していると
「何してるの?」
キミが現れる。
「ん?普段見ない景色を堪能してるの」
笑顔で答えると
「へえ、そうなんだ。私はどう見える?」
そう聞かれ
「背が高く感じる…かな」
返事をしたあと、鉄棒を下りた。
「楽しかった?」
「そうだね。普段見ないものを見るのは楽しいかな。それに」
「それに?」
「いつも見ている視点じゃなく、別の視点から見るのも大切。ってことがわかった」
「そうなんだ」
「うん」
よくわからなそうな顔をするキミと視線を合わせ
「僕とキミの身長は違うよね。なのに、キミが見る景色と僕が見る景色は違う。ってことを意識してなかった。これからは、キミの視点を意識して、高いもの…物を取るとか、電灯を交換するとか、僕がやるね。今までは、イスとか使えば出来るでしょ。って思ってたけど、イスに乗ったりするのも怖かったりしてたよね。キミにやらせてばかりでごめんね。やってくれてありがとう」
気持ちを伝えると、キミは僕の手を取り、笑うのだった。

12/7/2024, 7:25:48 AM