未来への船
帰ってくるからね、私のふるさと。
パァーと音を響かせながら感傷に浸る私を乗せて船は進む。
「いよいよね…」
坂井もも、18歳。一人旅に出ます。と言っても、生まれ育った小さな島から大学進学を機に都会の方へ行くってだけだけど。
「それでも私にとっては大冒険だわ!」
おっと。手を口に当てて周りを見る。風が強いせいか甲板に出てる人は少ない。独り言を呟くのは昔からのくせ。頭で考えてるのにいつのまにか声に出ちゃってるのよね。聞かれてなくて良かった。別に聞かれても困ることはないのだけれど…
「まだあの事を…私は引きずってるのね──」
5年前、私が中学生だった時。
私にはクラスに親友と呼べるほど仲の良い子がいた。毎日一緒に帰っていて、その日もその子を昇降口で待っていたけれど、なかなか来ないので心配になり教室に戻った。教室からはその子と別のグループの女の子たちが集まって話してるみたいで声が聞こえてきた。
「─⋯でさぁ、そう思わない?あんたも」
「……そうね」
「だよね〜。なんか急に話し出してさあ、ウケる!よく仲良くしてられるよね、まじすごいよ」
「……あたし、もう帰るわ」
「はぁ?なんかノリ悪…」
加筆予定
5/12/2025, 12:56:46 AM