木弓るん

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逃れられない

狭く、殺風景な部屋に一人ぼっちだった
ここに連れてこられてから
どのくらいの月日が流れたのだろうか

最初の頃こそ
くり返し、くり返し脅されて
逃げ出そうなんてそぶりを見せただけで
痛い目にあってきた

今は別に拘束されている訳ではない
部屋に鍵さえもかけられていない
あいつも、しばらくはここにこない

逃げようと思えば逃げ出せるのかもしれない
目の前の扉を開けて外に出て
誰かに助けを求めればいいのかもしれない

だけど

ここから一歩も動けない
震えが止まらなくて立ち上がれない
私はもう見えない糸でがんじからめに
縛られているのだ

5/23/2024, 11:00:00 AM