外堀からガンガン埋められていって、あれよあれよと言う間に君と同棲することになり、早三年。
こんがり綺麗なキツネ色に焼き上げられたパンケーキにハチミツをトロトロと垂らしながら、向かいに座ってパンケーキを頬張っている君を一瞥。
どうしてこうなった。
此方の視線に気づいたのか「どうしたの?」と小首を傾げる君に「なんでもない」と方笑み、ハチミツをたっぷり吸ったパンケーキをナイフで一口大に切ってから口に放り込んだ。
さっぱりわからない。
「美味しくなかった?」
フォークが止まっているのを気にしてか、眉を曇らせる君に「ハチミツをかけ過ぎただけだよ」と笑って自分のマグカップを手に取った。
ゆっくりとマグカップを傾けて、注がれていたブラックコーヒーを口に含めば、君の心底ホッとしたような顔がマグカップの陰から、うっすら見えた。
私なんかの為に、なんでそんなに必死なのか。
わからない、そう思いながら息を吐いた。
テーマ「恋物語」
5/18/2024, 5:26:06 PM