エリィ

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「例えば、隕石がぶつかることがわかったりとかで、世界の終わりが来たらどうする?」
 なんてことが、先日僕たちの間で話題になった。
「そうだなぁ……目いっぱい彼女といちゃつくかな」
 アイスコーヒーに刺さるストローをかみながら、常に無表情の友人は言った。
「ずいぶん素直だな〜これがツンデレってやつか?」
 僕は友人をからかった。
 何分この友人、いつも無表情。恋人の前でも一切表情を崩さない。恋人を紹介してきたときには、本当に付きあってる相手がいることに驚いたもんだ。もっとも、彼女も無表情だったが。それなのに、二人が明らかにラブラブであることが伝わっていた。ふたりともこんな感じなのに、一体どうやってここまでに至ったのか。
「そうなったら僕とコーヒー飲まずに彼女の側にいてやれよ」
 僕は紅茶を蒸らしながら、のんびりと友人を見る。
 はぁ~僕も彼女ほしいな〜。
 世界の終わりを一緒に迎えられるような、素敵な人が。

*****

「キミと出会えてよかったよ」
「うん、本当にね」
「愛してくれてありがとう」
「こちらこそ、出会ってくれて、愛してくれてありがとう」
 僕と彼女は、抱き合いながら世界が終わるその時を待っていた。
 あともう少し、早く出会いたかった。
 僕とキミが付き合ってから、一週間後の出来事だった。


お題:世界の終わりに君と

6/7/2023, 11:00:48 AM